天才魔導師の悪妻~私の夫を虐げておいて戻ってこいとは呆れましてよ?~


 王都とは違う素朴な町だ。

 開発のため私も何度か顔を出したことがあり、村人には顔を知られていた。

 しかし、皆、黒髪のシオン様を恐れてか遠巻きに見ている。

(閉鎖的な田舎町だからしかたがないけれど、気分が悪いわね)

 私はチラリとシオン様を見る。

 シオン様は無表情だ。こういった視線になれているのだ。

 その事実に悲しくなる。

 私たちは重い空気の中、歩いて行く。

「ルピナ様!」

 しばらく行くと少年が声をかけてきた。ダークブラウンの髪のため虐げられ、やさぐれ不良となっていたところを私がカツを入れた相手である。