天才魔導師の悪妻~私の夫を虐げておいて戻ってこいとは呆れましてよ?~


(ああ、ほら危ない)

 私はソファーからルピナを抱き上げた。

 すると、ルピナはギュッと私の首に腕を回してきた。

 目が覚めたのかと思ったが、そうではないらしい。

(無意識か……。そういえば、私に抱きついてきたのもルピナがはじめてだったな……)

 ユニコーンの背で力強く抱きついてきた彼女に、私は戸惑った。

 妹のように育てたエリカですら、私に抱きついたことはなかったからだ。手を繋ぐことはあっても、どこかそこには遠慮があった。

(遠慮だと思い込もうとしていたが、今ならわかる。エリカは私のために我慢していただけで、生理的には黒髪が怖かったのだろう)

 それもひとつの優しさで、否定する気はない。

(しかし、ルピナは私を恐れない……)

 そのことが嫌に胸に響いた。