天才魔導師の悪妻~私の夫を虐げておいて戻ってこいとは呆れましてよ?~


 本来ベッドの中央には、ピンク色のプルメリアが並んでいる。もともとはハートだったものを、ルピナが結界のように一直線に引いたのだ。

 慌てふためく彼女を思い出し、口元が緩む。

 同時に彼女がここにいないことが少し淋しい。

(淋しい? 子供のころから親とすら、一緒に寝たことなどないのにな)

 そんなふうに感じる自分が意外で、胸の奥がくすぐったい。

(とはいえ、公爵令嬢をソファーで眠らせるわけにはいかない。彼女が一緒に眠れないというのなら、私こそソファーに寝るべきだな)

 私はそう思い、ベッドから出た。

 そして、リビングのドアを開ける。リビングの明かりはすでに消えており、ソファーには眠るルピナが見えた。

 片足だけ床に落ちてしまっている。