(『オシハココニイタ』と絶叫していたが、あれも呪文だったのか)
それ以降、セレスタイト公爵家からは、ルピナとの接触を禁じられたのだ。そのため恐れられているのだと思い込んでいたのだがどうやら違ったようだ。
(あれからどんなに調べても、ルピナの呪文の意味はまったくわからなかったが……。私のことを『推し』と言っていたのと関係があったのか?)
たしかにあの日以来、私はルピナのことが忘れられなくなったからだ。ルピナの目には映らないよう細心の注意を払いつつ、彼女の動向はいつも気にしていた。
自分の黒髪をつまんでみる。
(この髪を怖がらないのは、ローレンスとエリカだけだと思っていたのだが――。彼女はこの髪を美しいという……)



