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ルピナを初めて見たのは、私が宮廷魔導師として王宮に勤めるようになってすぐのころだ。魔術寄宿学校を卒業した私は、十八歳で最下級の宮廷魔導師として魔術部門で勤務するようになっていた。
遠目に見る彼女は、いつも颯爽としていた。聖なる力を宿すとされる月白色の髪を短く切りそろえ、大聖女の修行を拒み続けていることから、周囲は『気が触れている』と噂していた。
この国の貴族女性は、因習として髪を伸ばす。
また、魔力は髪に宿るため、魔力を扱う魔術師や聖職者は髪を伸ばすのが決まりだった。
それなのに、貴族女性であり、大聖女候補として請われていながら、髪を伸ばさないことはそれだけで奇異に見えたのだ。
しかし、私には彼女が眩しく見えた。
私は黒髪にコンプレックスを抱きながらも、魔力のために切ることすらできない。
人の噂が気になってフードで髪を隠し、人目につかぬように生きている自分とは正反対に見えたからだ。
ルピナを初めて見たのは、私が宮廷魔導師として王宮に勤めるようになってすぐのころだ。魔術寄宿学校を卒業した私は、十八歳で最下級の宮廷魔導師として魔術部門で勤務するようになっていた。
遠目に見る彼女は、いつも颯爽としていた。聖なる力を宿すとされる月白色の髪を短く切りそろえ、大聖女の修行を拒み続けていることから、周囲は『気が触れている』と噂していた。
この国の貴族女性は、因習として髪を伸ばす。
また、魔力は髪に宿るため、魔力を扱う魔術師や聖職者は髪を伸ばすのが決まりだった。
それなのに、貴族女性であり、大聖女候補として請われていながら、髪を伸ばさないことはそれだけで奇異に見えたのだ。
しかし、私には彼女が眩しく見えた。
私は黒髪にコンプレックスを抱きながらも、魔力のために切ることすらできない。
人の噂が気になってフードで髪を隠し、人目につかぬように生きている自分とは正反対に見えたからだ。



