(さあ! 今から推しを救い出すわよ!)
私、ルピナ・セレスタイトはこれから始まる茶番に向けて、やる気をみなぎらせていた。
今夜は新大聖女誕生の祝賀パーティーが王宮の大広間でおこなわれている。
本来なら一緒に来るはずのパートナーはここにはいない。
私の婚約者でありながら、違う女にうつつを抜かしているからである。しかもソイツは、今夜私のエスコートをドタキャンし、本人不在のパーティーでなし崩し的に婚約破棄しようとしているのだ。
(ま、計算どおりにはさせてあげないけどね)
ほくそ笑みながら、月白色のショートボブをなびかせて、乗馬服でカツカツと歩く。衛兵達が驚いたように私を見て、顔をしかめた。
この国の貴族女性は髪を短く切らない。長い髪には魔力が宿るとされ、特に野外で活動する必要のない貴族女性は伸ばすことが当然とされた。美しく長い髪は、真摯に魔法に向き合っている証拠なのである。
そんな不文律を破る私は、いつも白い目で見られている。
(だって、短くたって魔力は充分だし。なんせ、動きにくいんだもん。女はパンツスタイル禁止だとか、この世界の常識はナンセンスなのよ)
そう、私は『大聖女エリカの花占い』という逆ハーレム縦読み漫画の中に、主人公エリカをいじめる悪女として転生してしまったのだ。
私、ルピナ・セレスタイトはこれから始まる茶番に向けて、やる気をみなぎらせていた。
今夜は新大聖女誕生の祝賀パーティーが王宮の大広間でおこなわれている。
本来なら一緒に来るはずのパートナーはここにはいない。
私の婚約者でありながら、違う女にうつつを抜かしているからである。しかもソイツは、今夜私のエスコートをドタキャンし、本人不在のパーティーでなし崩し的に婚約破棄しようとしているのだ。
(ま、計算どおりにはさせてあげないけどね)
ほくそ笑みながら、月白色のショートボブをなびかせて、乗馬服でカツカツと歩く。衛兵達が驚いたように私を見て、顔をしかめた。
この国の貴族女性は髪を短く切らない。長い髪には魔力が宿るとされ、特に野外で活動する必要のない貴族女性は伸ばすことが当然とされた。美しく長い髪は、真摯に魔法に向き合っている証拠なのである。
そんな不文律を破る私は、いつも白い目で見られている。
(だって、短くたって魔力は充分だし。なんせ、動きにくいんだもん。女はパンツスタイル禁止だとか、この世界の常識はナンセンスなのよ)
そう、私は『大聖女エリカの花占い』という逆ハーレム縦読み漫画の中に、主人公エリカをいじめる悪女として転生してしまったのだ。



