正午を過ぎ、台風はさらに勢いを増していた。外の木々はしなるどころか折れそうで、屋根の板金が風に打たれて金属音を響かせる。
「屋根、また動いてる!」愛理が叫んだ。
「さっきの補強じゃ足りない!」勇希が脚立を持って走り出す。
「ロープをもっと強く張るぞ!」春馬は迷わず指示を出した。
雅史は腰のベルトを締め直し、命綱を確保する。
「落ちても助からない高さだぞ」しおりが声をかけたが、雅史は静かに笑った。
「大丈夫、僕は計算して動く」
春馬はカメラを手にしていたが、そのまま肩にかけ直し、雅史の補助に回った。
「俺がロープを張る! しおり、支点を確認してくれ!」
「了解!」しおりは即座に動き、体育館の柱にロープを巻き付けていく。
暴風で足元が揺れる中、雅史が屋根へと上がった。
「今だ、ロープを通せ!」
「了解!」春馬は両手でロープを渡し、雅史が屋根に通す。
しおりがテンションを調整し、勇希が固定を補助した。
ロープがピンと張られ、剥がれかけた屋根が安定を取り戻す。
「よし、成功だ!」雅史が声を上げた瞬間、風がさらに強まった。
「春馬! もう一本追加だ!」
春馬は応え、追加のロープを屋根に上げた。
「これで……絶対に落ちない!」春馬が声を張り上げると、仲間たちも一斉に歓声を上げた。
愛理は下から見上げていた。
「……怖かったけど、すごいね。みんな、守ってるんだ」
恭子が静かに答えた。
「ええ。命を懸けても、この壁画を守る覚悟があるのね」
最後のロープを結んだ瞬間、屋根全体が安定したのが分かった。激しい風に揺れていた音も次第に小さくなる。
「これで大丈夫だ!」雅史が叫ぶと、体育館内に安堵の声が広がった。
春馬は屋根の上で雅史の腕を掴み、互いに目を合わせて頷き合う。
「ありがとう、雅史。君がいなかったら……」
「チーム全員でやったんだ」雅史が笑い、慎重に降りてきた。
下では愛理が涙目で見上げていた。
「無事でよかった……」
春馬は笑って肩を叩く。
「大丈夫。俺たちは必ず守るって決めたんだ」
恭子が配信カメラを回しながらつぶやいた。
「視聴者、二百人を超えました。コメントも溢れています」
画面には《すごい!》《命懸けで守ってる》《感動した》といったメッセージが並んでいた。
勇希は息を整えながら笑う。
「次は壁画だな。雨が吹き込まないようにシートを追加しよう」
「了解!」しおりが即座に行動に移る。
春馬は仲間を見渡し、力強く言った。
「俺たち、どんな嵐が来ても負けない!」
その言葉に、全員が「おーっ!」と声を合わせた。
窓の外はまだ暴風雨だ。しかし、体育館の中には確かな絆と熱が満ちていた。
春馬は胸ポケットから愛理の母のカメラを取り出し、シャッターを切った。
——この一枚を、いつか必ず笑って見返せるように。
「屋根、また動いてる!」愛理が叫んだ。
「さっきの補強じゃ足りない!」勇希が脚立を持って走り出す。
「ロープをもっと強く張るぞ!」春馬は迷わず指示を出した。
雅史は腰のベルトを締め直し、命綱を確保する。
「落ちても助からない高さだぞ」しおりが声をかけたが、雅史は静かに笑った。
「大丈夫、僕は計算して動く」
春馬はカメラを手にしていたが、そのまま肩にかけ直し、雅史の補助に回った。
「俺がロープを張る! しおり、支点を確認してくれ!」
「了解!」しおりは即座に動き、体育館の柱にロープを巻き付けていく。
暴風で足元が揺れる中、雅史が屋根へと上がった。
「今だ、ロープを通せ!」
「了解!」春馬は両手でロープを渡し、雅史が屋根に通す。
しおりがテンションを調整し、勇希が固定を補助した。
ロープがピンと張られ、剥がれかけた屋根が安定を取り戻す。
「よし、成功だ!」雅史が声を上げた瞬間、風がさらに強まった。
「春馬! もう一本追加だ!」
春馬は応え、追加のロープを屋根に上げた。
「これで……絶対に落ちない!」春馬が声を張り上げると、仲間たちも一斉に歓声を上げた。
愛理は下から見上げていた。
「……怖かったけど、すごいね。みんな、守ってるんだ」
恭子が静かに答えた。
「ええ。命を懸けても、この壁画を守る覚悟があるのね」
最後のロープを結んだ瞬間、屋根全体が安定したのが分かった。激しい風に揺れていた音も次第に小さくなる。
「これで大丈夫だ!」雅史が叫ぶと、体育館内に安堵の声が広がった。
春馬は屋根の上で雅史の腕を掴み、互いに目を合わせて頷き合う。
「ありがとう、雅史。君がいなかったら……」
「チーム全員でやったんだ」雅史が笑い、慎重に降りてきた。
下では愛理が涙目で見上げていた。
「無事でよかった……」
春馬は笑って肩を叩く。
「大丈夫。俺たちは必ず守るって決めたんだ」
恭子が配信カメラを回しながらつぶやいた。
「視聴者、二百人を超えました。コメントも溢れています」
画面には《すごい!》《命懸けで守ってる》《感動した》といったメッセージが並んでいた。
勇希は息を整えながら笑う。
「次は壁画だな。雨が吹き込まないようにシートを追加しよう」
「了解!」しおりが即座に行動に移る。
春馬は仲間を見渡し、力強く言った。
「俺たち、どんな嵐が来ても負けない!」
その言葉に、全員が「おーっ!」と声を合わせた。
窓の外はまだ暴風雨だ。しかし、体育館の中には確かな絆と熱が満ちていた。
春馬は胸ポケットから愛理の母のカメラを取り出し、シャッターを切った。
——この一枚を、いつか必ず笑って見返せるように。



