暁の導標と羅針盤の少女

 翌朝、明潮の港はいつもと変わらぬ賑わいを見せていた。だが、柚たちの心の中には昨夜の出来事がまだ鮮やかに残っている。
  柚はペンダントをそっと手に取り、博物館の受付に立っていた。
  「これを、寄贈したいんです」
  受付の職員が驚いた表情を見せる。
  「本当にいいのですか? 大切なものでは……」
  柚は微笑んで首を振った。
  「おばあちゃんも、きっとここで多くの人に見てもらえることを望んでいると思うんです」
  湊斗、千愛、航太、可奈子、ドリュー、カロリーナも後ろで見守っていた。
  「みんなのおかげでここまで来られた」と柚が振り返ると、千愛が照れくさそうに笑った。
  「私もまだ成長途中だけど、これで一歩進めた気がする」
  航太は呟くように言った。
  「言葉って、ちゃんと届くんだな……」
  カロリーナが肩を組み、元気に声を上げる。
  「これからも一緒に新しい場所へ行こうよ!」
  ドリューも笑顔で頷いた。
  「もちろんだ」
  可奈子は少し涙ぐんでいたが、笑顔で続けた。
  「ありがとう、みんな……私も誰かを助けられる人になりたい」


 始業式のチャイムが鳴り、校舎には生徒たちの声が響いていた。夏休みを終えた教室には、少し日焼けした笑顔が集まっている。
  柚は自分の席に座り、窓の外を見上げた。空は高く澄んでおり、新しい季節の訪れを告げているようだった。
  「これから、もっとたくさんのことを学んでいこう」
  そう小さくつぶやくと、湊斗が隣に腰を下ろした。
  「なにか言った?」
  「ううん、ちょっと未来のこと考えてただけ」
  湊斗はにやりと笑い、手を差し出す。
  「じゃあ、一緒に考えよう。俺たち、まだまだできることあるし」
  柚はその手を握り返した。
  「うん!」
  教壇に立った担任の声が響く。
  「さあ、新学期のスタートだ! それぞれの進路を決める大事な時期だぞ」
  柚は心の中で答えた。
  ――私の進路は、仲間と一緒に未来を切り開くこと。
  放課後、校庭に集まった仲間たちはそれぞれの夢を口にした。
  千愛は責任ある仕事を目指し、航太は情報を扱う研究者になりたいと言った。可奈子は人を助ける活動に興味を示し、ドリューとカロリーナは世界を旅して学びを広げたいと話した。
  柚も笑顔で言った。
  「私は、人の話をしっかり聞いて、みんなが困っていたらすぐに動ける人になりたい!」
  仲間たちは一斉に拍手し、その場は温かな笑い声に包まれた。