嵐が過ぎ去った直後の町は、まだ静けさに包まれていた。道路には枝や落ち葉が散乱しており、一部の家屋の屋根瓦が飛ばされていた。しかし幸いなことに人的被害はなく、人々は胸を撫で下ろしていた。
そのとき、町の通信設備に異常が発生した。落雷の影響で主要な通信回線がダウンし、防災無線も途絶していたのだ。避難所にいた人々が不安そうにざわめく。
「町の外と連絡が取れない……どうしよう?」
柚が顔を上げ、湊斗を見る。
「外部に状況を伝えなきゃ」
湊斗は頷き、貴史の方へ目を向けた。
貴史は落ち着いた表情で立ち上がった。
「非常用の通信装置を使います。古いけれど、まだ使えるはずです」
避難所の奥にある物置から、かつて防災訓練で使用した無線装置が運び出された。
「電源は……よし、生きてる。アンテナは?」
「屋上に設置されてるけど、少し傾いてるみたい」柚が答えると、貴史は頷き、すぐに行動を開始した。
「よし、俺が行こう。危険だから手早く終わらせる」
湊斗も同行を申し出た。
「俺も行く。二人なら早い」
二人は風にあおられながら屋上へと向かい、アンテナを立て直した。
屋上に出ると、まだ強い風が吹きつけていた。アンテナは大きく傾き、今にも折れそうだった。
「湊斗、支えてくれ!」
「了解!」
二人は声を張り上げながら、工具を使って固定具を締め直していった。
下では柚が無線装置の電源を入れ、周波数を調整していた。航太が横でデータを確認し、最適な周波数を指示する。
「これで繋がるはず……」
数秒後、スピーカーからかすかな雑音と共に声が聞こえた。
『こちら県防災センター。明潮町、応答してください』
「繋がった!」柚は思わず立ち上がった。
貴史が落ち着いた声でマイクを握る。
「こちら明潮町避難所。停電と通信障害が発生しましたが、人的被害はありません。町内の安全は確保されています」
防災センターの職員が安堵の声を返した。
『了解。復旧班をすぐに派遣します。避難所の皆さんによろしく』
通信が終わると、避難所の中に拍手が起こった。子どもたちまで笑顔になり、緊張していた空気が少しだけ和らいだ。
「貴史さん、すごい!」と柚が駆け寄ると、貴史は照れくさそうに笑った。
「いや、みんなのおかげだよ」
無線通信の成功により、避難所は一気に落ち着きを取り戻した。柚は胸をなで下ろし、ペンダントにそっと触れた。
――おばあちゃん、町は守られているよ。
湊斗と貴史が屋上から戻ってきた。二人の服は風と雨でびしょ濡れだったが、その表情は晴れやかだった。
「アンテナ、もう大丈夫だ」湊斗が報告すると、避難所の人々は再び拍手を送った。
その後、電気が一部復旧し、照明が灯った。暗闇に慣れていた子どもたちが「明るい!」と歓声を上げる。
可奈子は毛布を整えながら笑った。
「これで一安心ね」
千愛も頷き、避難所のリーダーに報告する。
「通信は完全に復旧しました。今夜は安全に過ごせます」
深夜になっても余震のような風は続いていたが、皆の表情には安堵が広がっていた。柚は仲間たちと目を合わせ、そっと微笑む。
――一人じゃできないことも、みんなでならできる。
この夜、避難所に漂っていた不安は消え、静かな眠りが訪れた。
そのとき、町の通信設備に異常が発生した。落雷の影響で主要な通信回線がダウンし、防災無線も途絶していたのだ。避難所にいた人々が不安そうにざわめく。
「町の外と連絡が取れない……どうしよう?」
柚が顔を上げ、湊斗を見る。
「外部に状況を伝えなきゃ」
湊斗は頷き、貴史の方へ目を向けた。
貴史は落ち着いた表情で立ち上がった。
「非常用の通信装置を使います。古いけれど、まだ使えるはずです」
避難所の奥にある物置から、かつて防災訓練で使用した無線装置が運び出された。
「電源は……よし、生きてる。アンテナは?」
「屋上に設置されてるけど、少し傾いてるみたい」柚が答えると、貴史は頷き、すぐに行動を開始した。
「よし、俺が行こう。危険だから手早く終わらせる」
湊斗も同行を申し出た。
「俺も行く。二人なら早い」
二人は風にあおられながら屋上へと向かい、アンテナを立て直した。
屋上に出ると、まだ強い風が吹きつけていた。アンテナは大きく傾き、今にも折れそうだった。
「湊斗、支えてくれ!」
「了解!」
二人は声を張り上げながら、工具を使って固定具を締め直していった。
下では柚が無線装置の電源を入れ、周波数を調整していた。航太が横でデータを確認し、最適な周波数を指示する。
「これで繋がるはず……」
数秒後、スピーカーからかすかな雑音と共に声が聞こえた。
『こちら県防災センター。明潮町、応答してください』
「繋がった!」柚は思わず立ち上がった。
貴史が落ち着いた声でマイクを握る。
「こちら明潮町避難所。停電と通信障害が発生しましたが、人的被害はありません。町内の安全は確保されています」
防災センターの職員が安堵の声を返した。
『了解。復旧班をすぐに派遣します。避難所の皆さんによろしく』
通信が終わると、避難所の中に拍手が起こった。子どもたちまで笑顔になり、緊張していた空気が少しだけ和らいだ。
「貴史さん、すごい!」と柚が駆け寄ると、貴史は照れくさそうに笑った。
「いや、みんなのおかげだよ」
無線通信の成功により、避難所は一気に落ち着きを取り戻した。柚は胸をなで下ろし、ペンダントにそっと触れた。
――おばあちゃん、町は守られているよ。
湊斗と貴史が屋上から戻ってきた。二人の服は風と雨でびしょ濡れだったが、その表情は晴れやかだった。
「アンテナ、もう大丈夫だ」湊斗が報告すると、避難所の人々は再び拍手を送った。
その後、電気が一部復旧し、照明が灯った。暗闇に慣れていた子どもたちが「明るい!」と歓声を上げる。
可奈子は毛布を整えながら笑った。
「これで一安心ね」
千愛も頷き、避難所のリーダーに報告する。
「通信は完全に復旧しました。今夜は安全に過ごせます」
深夜になっても余震のような風は続いていたが、皆の表情には安堵が広がっていた。柚は仲間たちと目を合わせ、そっと微笑む。
――一人じゃできないことも、みんなでならできる。
この夜、避難所に漂っていた不安は消え、静かな眠りが訪れた。


