本番の封印作業に向け、翌日からは潜水技術の強化訓練が始まった。場所は港の外れにある入り江。波は穏やかだが、海底の起伏が多く、実戦に近い環境を再現できる。
千愛は指導者として先頭に立ち、号令をかけた。
「今日は二十メートル地点での作業持久訓練! 作業中に体力が尽きるのが一番危険だからね」
「了解!」柚たちは声をそろえた。
柚は呼吸のリズムを意識し、ペンダントが身体の中央で揺れる感覚を確かめた。以前は海に潜るだけで不安だったが、今は落ち着いて周囲を観察できるようになっている。千愛が横を泳ぎながら声をかける。
「柚、姿勢がきれいになったよ」
「ありがとう!」マスク越しに笑みを返すと、胸の奥が少し熱くなった。
航太は水中ボードに航路を書き込みながら、データを記録していた。滑舌は水中では問題にならない。彼は正確さにおいて誰よりも信頼できる存在になっていた。
可奈子は器材のチェックを徹底し、ドリューは安全確認と救助訓練を担当。カロリーナは遊び心を忘れずに水中撮影を行い、士気を上げていた。
午後になると、千愛が課題を追加した。
「今度は視界ゼロの状態で動いてみよう。濁った海底で封印装置を探す可能性があるからね」
柚は目を閉じ、ペンダントの感覚だけを頼りに進んだ。方向を見失いそうになったが、湊斗のサポートと仲間の声で軌道を修正できた。
浮上後、柚は息を切らせながらも笑った。
「前なら怖くて泣いてたかも。でも今は違う」
湊斗が笑みを浮かべて言った。
「君はもう立派な潜水士だ」
翌日も訓練は続いた。今度はペアごとの連携を重視した内容だ。封印作業では一人ではなく、必ず二人以上で動くことが基本とされている。
「柚、今日は僕と組もう」湊斗が声をかけると、柚は少し驚きつつも頷いた。
「う、うん。よろしく!」
二人は呼吸を合わせ、潜行を開始した。湊斗は状況に応じて細かく合図を送り、柚はそれに従って動く。すると不思議なほどスムーズに進めた。
――この人、誰とでもうまくやれるって本当なんだな。
心の中でつぶやきながら、柚はペンダントを握った。
千愛と航太のペアは、持ち前の正確さと責任感で動きが非常に安定していた。航太は多少言葉がもつれても、必要な情報は必ず伝えきる。その姿を見て千愛は安心した笑みを浮かべていた。
一方、ドリューとカロリーナのペアは大胆かつ柔軟な動きで、危険を楽しむかのような雰囲気さえあった。
「見て、あのルート!」カロリーナが指差す先には、複雑な岩場をくぐり抜ける二人の姿があった。
可奈子は笑って言った。
「本番ではもう少し慎重に頼むね……」
夕方には全員が疲れ果てていたが、確実に成長していることを感じていた。
「あと数日で本番……私たちならきっとやれる」柚がつぶやくと、湊斗も静かに頷いた。
その時、ペンダントが再び光を放った。仲間たちが思わず視線を向ける。
「また光った……遺跡が動き始めてるのかもしれないな」湊斗の言葉に、場の空気が引き締まった。
訓練最終日、千愛は全員を前に立たせ、最後の課題を告げた。
「今日は本番を想定したシミュレーションをするよ。《潮の心臓》のある地点まで潜って、調律の泡を設置する動きを練習する」
柚は深呼吸し、胸元のペンダントを握った。光は弱いが確かに揺らめいている。
――この光に恥じない動きをしなきゃ。
潜行開始。柚と湊斗は先頭を進み、航太がナビゲーションを担当。千愛が安全を確認し、後方ではドリューとカロリーナが補助しながら進んだ。可奈子は器材の安全性を再確認する役割だ。
水深二十五メートル地点に到達すると、柚はケースから調律の泡を取り出し、所定の位置に置く動作を練習した。手がわずかに震えたが、湊斗の合図で落ち着きを取り戻す。航太が呪文を正確に唱え、千愛が最後の確認をした。
浮上すると、全員の顔には疲労と達成感が混じっていた。
「よくやったね、みんな!」千愛の声に笑顔が広がる。
「これで本番もいける」湊斗が言い、柚を見た。「特に柚、動きが安定してた」
「ありがとう……」柚は少し照れ笑いを浮かべた。
夕暮れの港に戻ると、灯台が静かに光を放っていた。柚はペンダントを見つめ、強く誓った。
――もう迷わない。仲間と一緒に、必ず封印を成功させる。
千愛は指導者として先頭に立ち、号令をかけた。
「今日は二十メートル地点での作業持久訓練! 作業中に体力が尽きるのが一番危険だからね」
「了解!」柚たちは声をそろえた。
柚は呼吸のリズムを意識し、ペンダントが身体の中央で揺れる感覚を確かめた。以前は海に潜るだけで不安だったが、今は落ち着いて周囲を観察できるようになっている。千愛が横を泳ぎながら声をかける。
「柚、姿勢がきれいになったよ」
「ありがとう!」マスク越しに笑みを返すと、胸の奥が少し熱くなった。
航太は水中ボードに航路を書き込みながら、データを記録していた。滑舌は水中では問題にならない。彼は正確さにおいて誰よりも信頼できる存在になっていた。
可奈子は器材のチェックを徹底し、ドリューは安全確認と救助訓練を担当。カロリーナは遊び心を忘れずに水中撮影を行い、士気を上げていた。
午後になると、千愛が課題を追加した。
「今度は視界ゼロの状態で動いてみよう。濁った海底で封印装置を探す可能性があるからね」
柚は目を閉じ、ペンダントの感覚だけを頼りに進んだ。方向を見失いそうになったが、湊斗のサポートと仲間の声で軌道を修正できた。
浮上後、柚は息を切らせながらも笑った。
「前なら怖くて泣いてたかも。でも今は違う」
湊斗が笑みを浮かべて言った。
「君はもう立派な潜水士だ」
翌日も訓練は続いた。今度はペアごとの連携を重視した内容だ。封印作業では一人ではなく、必ず二人以上で動くことが基本とされている。
「柚、今日は僕と組もう」湊斗が声をかけると、柚は少し驚きつつも頷いた。
「う、うん。よろしく!」
二人は呼吸を合わせ、潜行を開始した。湊斗は状況に応じて細かく合図を送り、柚はそれに従って動く。すると不思議なほどスムーズに進めた。
――この人、誰とでもうまくやれるって本当なんだな。
心の中でつぶやきながら、柚はペンダントを握った。
千愛と航太のペアは、持ち前の正確さと責任感で動きが非常に安定していた。航太は多少言葉がもつれても、必要な情報は必ず伝えきる。その姿を見て千愛は安心した笑みを浮かべていた。
一方、ドリューとカロリーナのペアは大胆かつ柔軟な動きで、危険を楽しむかのような雰囲気さえあった。
「見て、あのルート!」カロリーナが指差す先には、複雑な岩場をくぐり抜ける二人の姿があった。
可奈子は笑って言った。
「本番ではもう少し慎重に頼むね……」
夕方には全員が疲れ果てていたが、確実に成長していることを感じていた。
「あと数日で本番……私たちならきっとやれる」柚がつぶやくと、湊斗も静かに頷いた。
その時、ペンダントが再び光を放った。仲間たちが思わず視線を向ける。
「また光った……遺跡が動き始めてるのかもしれないな」湊斗の言葉に、場の空気が引き締まった。
訓練最終日、千愛は全員を前に立たせ、最後の課題を告げた。
「今日は本番を想定したシミュレーションをするよ。《潮の心臓》のある地点まで潜って、調律の泡を設置する動きを練習する」
柚は深呼吸し、胸元のペンダントを握った。光は弱いが確かに揺らめいている。
――この光に恥じない動きをしなきゃ。
潜行開始。柚と湊斗は先頭を進み、航太がナビゲーションを担当。千愛が安全を確認し、後方ではドリューとカロリーナが補助しながら進んだ。可奈子は器材の安全性を再確認する役割だ。
水深二十五メートル地点に到達すると、柚はケースから調律の泡を取り出し、所定の位置に置く動作を練習した。手がわずかに震えたが、湊斗の合図で落ち着きを取り戻す。航太が呪文を正確に唱え、千愛が最後の確認をした。
浮上すると、全員の顔には疲労と達成感が混じっていた。
「よくやったね、みんな!」千愛の声に笑顔が広がる。
「これで本番もいける」湊斗が言い、柚を見た。「特に柚、動きが安定してた」
「ありがとう……」柚は少し照れ笑いを浮かべた。
夕暮れの港に戻ると、灯台が静かに光を放っていた。柚はペンダントを見つめ、強く誓った。
――もう迷わない。仲間と一緒に、必ず封印を成功させる。


