七月二十二日、午後四時。宮海中学校の図書室は夏の西日でオレンジ色に染まっていた。机に集まったのは、凪桜、大河、亮佑、梨奈、稜、そして規律に厳しい玲菜だ。
「じゃあ……正式に始めようか、海守り隊」大河が宣言するように言った。
火災救出の翌日から、凪桜の噂は一部で広まりつつあったが、彼女は能力について詳しくは語らなかった。それでも五人は「町を守りたい」という思いで一致していた。
「まず署名活動ね」玲菜が手帳を開き、眼鏡を押し上げる。「正しい手順で町を動かすには、正式な要望書と千名分の署名が必要よ」
「千名!?」稜が椅子ごとひっくり返りそうになった。「一週間で集めるのは無理じゃない?」
「無理じゃないよ」亮佑が冷静に言った。「ターゲットを分けて効率的に集めれば、可能性はある」
梨奈も資料を広げる。「町内会と商店街、観光客へのアプローチも考えたほうがいいわ」
凪桜はそんな仲間を見回した。力の秘密を抱えている罪悪感はあったが、それ以上に彼らの真剣さが胸に響く。
「私……できることをやる。だからみんな、力を貸して!」
その声に、全員がうなずいた。
玲菜が改めて提案する。「じゃあ、役割分担を決めよう。私は文書作成を担当。亮佑はメディア調査、梨奈はプレゼン資料作り、大河は全体のまとめ役、稜は……まあ盛り上げ担当?」
「えー、適当すぎない?」稜が抗議するも、すぐに「でも任せろ!」と笑う。
図書室の静かな空気に笑い声が広がった。そのとき、窓から吹き込む風が凪桜の髪を揺らした。腕輪は小さく光り、まるで応援しているかのようだった。
——これが私たちの第一歩。
凪桜は胸の奥でそうつぶやいた。
「じゃあ……正式に始めようか、海守り隊」大河が宣言するように言った。
火災救出の翌日から、凪桜の噂は一部で広まりつつあったが、彼女は能力について詳しくは語らなかった。それでも五人は「町を守りたい」という思いで一致していた。
「まず署名活動ね」玲菜が手帳を開き、眼鏡を押し上げる。「正しい手順で町を動かすには、正式な要望書と千名分の署名が必要よ」
「千名!?」稜が椅子ごとひっくり返りそうになった。「一週間で集めるのは無理じゃない?」
「無理じゃないよ」亮佑が冷静に言った。「ターゲットを分けて効率的に集めれば、可能性はある」
梨奈も資料を広げる。「町内会と商店街、観光客へのアプローチも考えたほうがいいわ」
凪桜はそんな仲間を見回した。力の秘密を抱えている罪悪感はあったが、それ以上に彼らの真剣さが胸に響く。
「私……できることをやる。だからみんな、力を貸して!」
その声に、全員がうなずいた。
玲菜が改めて提案する。「じゃあ、役割分担を決めよう。私は文書作成を担当。亮佑はメディア調査、梨奈はプレゼン資料作り、大河は全体のまとめ役、稜は……まあ盛り上げ担当?」
「えー、適当すぎない?」稜が抗議するも、すぐに「でも任せろ!」と笑う。
図書室の静かな空気に笑い声が広がった。そのとき、窓から吹き込む風が凪桜の髪を揺らした。腕輪は小さく光り、まるで応援しているかのようだった。
——これが私たちの第一歩。
凪桜は胸の奥でそうつぶやいた。



