深夜の港町。昼間の活気は消え、街灯だけが無機質な光を投げていた。セレスティック開発の支社ビルは、そんな闇の中で異様なほど明るい。
「よし、今夜がチャンスだ」稜はフードをかぶり、カメラを首に掛けた。
凪桜はその横顔を見て心配そうに声をかける。「無茶しないでよ」
「平気。写真を撮って証拠をつかむだけだから」
港の倉庫群に忍び込むと、重機の搬入スケジュールが書かれたホワイトボードが見えた。稜は素早くシャッターを切る。だが、背後から懐中電灯の光が差した。
「おい! 何をしている!」警備員の声だ。
稜は息をのむ。出口に走ろうとした瞬間、足元のクレーンチェーンに引っ掛かり転びそうになる。そのとき、凪桜の腕輪が淡く光り、突風が吹き抜けた。周囲のダンボールが宙を舞い、警備員の視界を遮る。
「今だ、走って!」凪桜が稜の手を引いた。二人は倉庫を抜け、暗い路地へ駆け込む。
息を切らしながらビルから離れた稜は、カメラを握り締めて笑った。「撮ったぞ……重機の搬入スケジュール、これで工事の強行が確定だ」
「よかった……でも危なかったね」凪桜は胸を撫で下ろす。
腕輪はまだ微かに震えていた。——守ったよ。そんな声が聞こえた気がした。
夜空には雲がかかり、星はほとんど見えなかった。しかし二人の胸には確かな光が灯っていた。これで一歩、真実に近づいたのだ。
「よし、今夜がチャンスだ」稜はフードをかぶり、カメラを首に掛けた。
凪桜はその横顔を見て心配そうに声をかける。「無茶しないでよ」
「平気。写真を撮って証拠をつかむだけだから」
港の倉庫群に忍び込むと、重機の搬入スケジュールが書かれたホワイトボードが見えた。稜は素早くシャッターを切る。だが、背後から懐中電灯の光が差した。
「おい! 何をしている!」警備員の声だ。
稜は息をのむ。出口に走ろうとした瞬間、足元のクレーンチェーンに引っ掛かり転びそうになる。そのとき、凪桜の腕輪が淡く光り、突風が吹き抜けた。周囲のダンボールが宙を舞い、警備員の視界を遮る。
「今だ、走って!」凪桜が稜の手を引いた。二人は倉庫を抜け、暗い路地へ駆け込む。
息を切らしながらビルから離れた稜は、カメラを握り締めて笑った。「撮ったぞ……重機の搬入スケジュール、これで工事の強行が確定だ」
「よかった……でも危なかったね」凪桜は胸を撫で下ろす。
腕輪はまだ微かに震えていた。——守ったよ。そんな声が聞こえた気がした。
夜空には雲がかかり、星はほとんど見えなかった。しかし二人の胸には確かな光が灯っていた。これで一歩、真実に近づいたのだ。



