議会の審議が中断された帰り道、空はすでに鉛色の雲で覆われていた。海岸通りを歩く凪桜たちの足取りは重い。潮の匂いを運ぶ風が、どこか冷たかった。
「せっかく正しい手順を踏んだのに……」玲菜が立ち止まり、拳を握った。「署名も資料も、ちゃんと用意したのに、どうして通らないの?」
彼女は規則に忠実であることを信条にしてきた。だからこそ今回の事態は強い衝撃だった。
「玲菜……」凪桜が声をかけると、玲菜は涙をこぼした。
「私、間違ってたのかな。正しいことをしたら、正しい結果が出るって信じてた。だけど……現実は違った」
その言葉に誰もすぐには返せなかった。重苦しい沈黙を破ったのは大河だった。
「玲菜、間違ってないよ。正しいことをした。でも、正しいだけじゃ届かないときもある」
亮佑も口を開いた。「証拠を無効にされたのは計画的なやり方だ。つまり、相手は本気で押し切ろうとしている」
稜は玲菜の肩に手を置いて言った。「でも、俺たちはまだ終わってないよな?」
凪桜は腕輪に触れ、深呼吸した。「玲菜、私たちのやり方で守ろう。正しいだけじゃなく、届く方法で」
玲菜は涙をぬぐい、小さく頷いた。「……うん。私も諦めない」
そのとき、潮風が強く吹き、凪桜の腕輪が淡く光った。まるで新しい道を示すように。
五人は互いに視線を合わせ、無言でうなずいた。まだ戦いは終わっていない——いや、むしろここからが本番だった。
「せっかく正しい手順を踏んだのに……」玲菜が立ち止まり、拳を握った。「署名も資料も、ちゃんと用意したのに、どうして通らないの?」
彼女は規則に忠実であることを信条にしてきた。だからこそ今回の事態は強い衝撃だった。
「玲菜……」凪桜が声をかけると、玲菜は涙をこぼした。
「私、間違ってたのかな。正しいことをしたら、正しい結果が出るって信じてた。だけど……現実は違った」
その言葉に誰もすぐには返せなかった。重苦しい沈黙を破ったのは大河だった。
「玲菜、間違ってないよ。正しいことをした。でも、正しいだけじゃ届かないときもある」
亮佑も口を開いた。「証拠を無効にされたのは計画的なやり方だ。つまり、相手は本気で押し切ろうとしている」
稜は玲菜の肩に手を置いて言った。「でも、俺たちはまだ終わってないよな?」
凪桜は腕輪に触れ、深呼吸した。「玲菜、私たちのやり方で守ろう。正しいだけじゃなく、届く方法で」
玲菜は涙をぬぐい、小さく頷いた。「……うん。私も諦めない」
そのとき、潮風が強く吹き、凪桜の腕輪が淡く光った。まるで新しい道を示すように。
五人は互いに視線を合わせ、無言でうなずいた。まだ戦いは終わっていない——いや、むしろここからが本番だった。



