七月二十七日、町議会臨時会。木目調の議場には緊張した空気が漂っていた。傍聴席には凪桜たち海守り隊五人と町民の姿。正面の議員席では町長と議員たちが資料を広げている。
「本日、セレスティック開発の掘削計画に関する臨時質疑を行います」議長の声が響く。
まず、亮佑が提出した柏木教授の分析レポートが読み上げられた。活断層直上の掘削がもたらす危険性を丁寧に説明する内容に、傍聴席からもざわめきが起きた。
「さらにこちらが、町民千二百名分の署名です!」玲菜が用意した書類を机に置く。議員たちが目を丸くした。
凪桜は拳を握り締めた。これで止められる——そう思った瞬間、スーツ姿の男性が立ち上がった。セレスティック開発の顧問弁護士だ。
「この資料には信頼性に疑問があります。サンプル採取は無断侵入によるものであり、証拠能力はありません。さらに署名は未成年者を含む。町議会はこれを採択するべきではありません」
その言葉に議場が揺れた。議長も判断を迷い、審議は一時中断となる。
傍聴席に戻った凪桜の胸に重たい感情が広がった。「どうして……こんなに頑張ったのに」
大河は肩に手を置き、静かに言った。「まだ終わってない。俺たちはここからだ」
凪桜は俯いたまま腕輪に触れた。微かに温もりが広がり、風が頬を撫でる。——守って。汐里の声が聞こえた気がした。
その瞬間、凪桜の中で新たな決意が芽生えた。正しいだけでは届かないなら、自分たちのやり方で守るしかない。
「本日、セレスティック開発の掘削計画に関する臨時質疑を行います」議長の声が響く。
まず、亮佑が提出した柏木教授の分析レポートが読み上げられた。活断層直上の掘削がもたらす危険性を丁寧に説明する内容に、傍聴席からもざわめきが起きた。
「さらにこちらが、町民千二百名分の署名です!」玲菜が用意した書類を机に置く。議員たちが目を丸くした。
凪桜は拳を握り締めた。これで止められる——そう思った瞬間、スーツ姿の男性が立ち上がった。セレスティック開発の顧問弁護士だ。
「この資料には信頼性に疑問があります。サンプル採取は無断侵入によるものであり、証拠能力はありません。さらに署名は未成年者を含む。町議会はこれを採択するべきではありません」
その言葉に議場が揺れた。議長も判断を迷い、審議は一時中断となる。
傍聴席に戻った凪桜の胸に重たい感情が広がった。「どうして……こんなに頑張ったのに」
大河は肩に手を置き、静かに言った。「まだ終わってない。俺たちはここからだ」
凪桜は俯いたまま腕輪に触れた。微かに温もりが広がり、風が頬を撫でる。——守って。汐里の声が聞こえた気がした。
その瞬間、凪桜の中で新たな決意が芽生えた。正しいだけでは届かないなら、自分たちのやり方で守るしかない。



