冷たいはずの王子様は少女にある勝負を仕掛け、甘い溺愛を注ぐ。

「よそ見などしていません」

「嘘をつくな。何か考え事をしていただろ」

「まさか。蒼河(そうが)様のお(ぐし)を整えているのに、他のことを考えるはずもありません」

いくら私の強がりがバレようとも、(あなど)られてはいけない。

これは私が生きるために必要な二面性なの。




「嘘をつくな、と言ったんだ」




その瞬間、鏡台の方を向いていた主人がこちらを振り返る。

そして、ぐっと私に顔を近づけた。