冷たいはずの王子様は少女にある勝負を仕掛け、甘い溺愛を注ぐ。

照れている蒼河様を見るのは初めてで、私はつい蒼河様に近寄ってしまう。

「おい、広葉。離れろ」

「照れている蒼河様なんて二度と見れないかもしれないので」

照れている蒼河様の顔を見ようと、私は後ろ側に回り込んだ。

その時、蒼河様の机の上の写真が目に入った。

その写真には幼い蒼河様と蒼河様のご両親が写っている。

蒼河様のお父様は菅沼財閥の当主であり、お母様は菅沼財閥の役員を(にな)っている。

ご両親は仕事で忙しいことも多く、幼い頃から蒼河様は一人で過ごすことも多かった。

蒼河様が「寂しい」と口に出したことはなかったそうだが、ご両親との写真を机に飾っているとは思わなかった。

その時、私の頭にある考えが浮かぶ。

その考えを私は蒼河様に告げた。





「蒼河様、ここで解答権を一回使います。蒼河様の弱点は、『一人でいること』ですか?」





どこか冷酷さを秘めている王子様は、実は寂しがり屋なだけかもしれない。

そんな思考が私の頭を巡った。






「違う。……ただ少し近いかな」






蒼河様の表情からは何を考えているかは分からなかった。