冷たいはずの王子様は少女にある勝負を仕掛け、甘い溺愛を注ぐ。

私の主人は美しい人だった。

漆黒の髪をきらめかせ、射抜くような視線を向けられると、まるで全てを見透かされている気持ちになる。

他のメイドからはその美しい容姿から影で『王子様みたい』と噂されていた。

それでも私から見れば『王子様』の美しさより、この人から(にじ)み出る冷酷さが気になったことをよく覚えている。





「おい、広葉。よそ見するな」





出会った瞬間に私の強がりを見抜いた恐ろしい主人は、今日も冷酷さを秘めていた。