冷たいはずの王子様は少女にある勝負を仕掛け、甘い溺愛を注ぐ。

「俺が怖いか?」

「まさか」

意地を張って、無理をして、そう返答した。

本当は、怖くないと言ったら嘘になる。

きっと初めて蒼河様に会ったのが夜の私だったら、泣いていたかもしれない。

それくらい蒼河様の瞳は出会った時から誰も信頼していないように見えた。

最近はそれすらも変わってきたように感じていたけれど……。

そんな私の胸の内すら見透かすつもりかと思うほど、蒼河様の視線は私を冷たく見下ろしていた。

そしてそんな冷たい視線のまま、蒼河様は相反(あいはん)するような甘い言葉を吐く。






「本当はそんなに俺が怖いなら、もっとドロドロに甘やかして優しくしてやろうか?」






この人の本性はどちらなのだろう?

それとも私と同じようにどちらも本性なのだろうか。

「冷酷さ」も「甘さ」も全て合わせてこの人なのだろうか。