初めて足を踏み入れたパーティー会場は、まさに別世界という言葉がよく似合うような光景だった。

そんな全てが(きら)びやかな世界に来ている人たちも全員きらめいていて。

自分の場違い感を知らしめられている気がした。

そんな私の気持ちの萎縮(いしゅく)を蒼河様は感じ取ったようだった。

「胸を張れ、広葉。お前は綺麗だ」

「よくそんなセリフを恥ずかしげもなくただのメイドに言えますね」

「本心だからな」

「ご冗談を」

蒼河様の腕に掴まりながら横を歩く私に、蒼河様が一瞬だけ視線を向けた。





「本当に冗談だと思うか?」





きっと夜の私だったら顔を赤らめて逃げてしまうような言葉。

それでももうパーティー会場の入り口は目の前に迫っていて、逃げるという選択肢は私に存在しなかった。

パーティー会場への扉が開く。