冷たいはずの王子様は少女にある勝負を仕掛け、甘い溺愛を注ぐ。

「もっとよく見せて、広葉」

蒼河様はいつものスーツ姿にも関わらず、いつもパーティーで着るようなお洒落なスーツではなく、まるで黒色を(まと)いたいと周りの人間に伝えるようなスーツだった。

考えたくないのに、普段の姿と違うからついじっと見てしまう。






「広葉のドレスの色に合わせたんだ。広葉ならそれくらい気づいているだろう?」






考えたくなかった。

そんな理由が頭を一瞬でもよぎった自分すら嫌だったのに……蒼河様は私を抱き寄せたまま離れてくれない。