冷たいはずの王子様は少女にある勝負を仕掛け、甘い溺愛を注ぐ。

「この度はいちメイドにまでこのような素敵なドレスを贈ってくださり、ありがとうございます」

「お礼はドレスを着る前に十分聞いた」

「しかし……!」

確かに先ほどドレスを頂いた瞬間にお礼は伝えたが、ドレスの値段を考えてももう一度言わせて欲しかった。





「そんなにお礼が言いたいならキスの一つでもしてくれたら良いのだけどな」




「冗談は程々にしてくださいませ」





つい癖のようにそう言い返してしまう。

夜の気の弱い自分が癖になっているように、昼の気の強い自分ももう癖になっていた。

しかし蒼河様は私の物言いに嫌な顔ひとつせずに、そっと私の腰を引き寄せるように私を抱き寄せた。