冷たいはずの王子様は少女にある勝負を仕掛け、甘い溺愛を注ぐ。

私にはある秘密がある。

幼い頃から母が病弱で、小学生の頃は純粋な悪意を向けられることが多かった。


『お前んちってなんかボロくね?』

『ていうか、お前の母ちゃん見たことないんだけど』


そんな世界で、この秘密は私が自分の身を守るためのルールだった。


【日が昇っている間は気の強い自分で、日が沈んでいる間は気の弱い自分】


学校が終わって、母と一緒にいられる夜だけが私の救いだった。

気の強い自分も嫌いじゃないし、無理をしているわけではなかったが、弱さをさらけ出せる時間が必要だった。

そんな私は少しでも病弱な母を助けたくて、高校に入学してすぐに住み込みで働ける場所を探した。

そして、見つけた求人広告。

高校生でもバイト可で、なおかつ高校に通っている時間帯は働けない私でも助かるほどの高時給。



そして何より一番の魅力は……【夜に働かなくて良いことだった】



働くのは、放課後の日が沈むまでのわずかな時間と休日の間だけ。

私はすぐにその『メイド募集』の求人に食いついた。