冷たいはずの王子様は少女にある勝負を仕掛け、甘い溺愛を注ぐ。

それから暫く私が落ち着くまで蒼河様は私の背中に優しく手を置いていた。

「落ち着いたか?」

「はい、申し訳ありません……」

「謝ることじゃない。まず俺が驚かせたのが悪いだろう」

蒼河様は私の背中から手を離し、立ち上がった。


「じゃあ、俺は自室に戻る」


「え……」


つい立ち上がった蒼河様の顔を見上げてしまう。

昼間の私じゃありえないのに、今はつい寂しさもこぼれ落ちてしまう。

「俺がここにいても良いのか?」

「お水を取りに来たと言ったのは蒼河様じゃないですか……」

普段の強い口調にはなれないのに、夜の弱さだけの口調にもなれなくて、まるで子供が強がっているみたいな言い方になってしまった。