「俺がこの箱を保管し、広葉が鍵を保管する。どちらかが負けた場合にだけ、この箱を開ける。問題あるか?」

「ありません。……ただこの勝負、自分の弱点を当てられた場合は自己申告ということですか?」

私の言葉に蒼河様の瞳に力が入ったのが分かった。





「俺は自分の弱点を当てられたら、負けを認め、メモを明かす。約束する」





その約束を蒼河様が破るとは、微塵(みじん)も思えなかった。





「私も約束します」





約束を相手が破らないと思ったのは、蒼河様も同じようだった。

「負けた方が相手にキスをするっていうのもつけておくか」

「冗談はおやめ下さい」

私がピシャリと言うと、蒼河様が「本気なんだけどな」と楽しそうに笑っている。




「では、ゲームスタートとしよう」




蒼河様のその声で、私たちの勝負は始まった。