冷たいはずの王子様は少女にある勝負を仕掛け、甘い溺愛を注ぐ。

「では、私も蒼河様が弱さを見せた時は助けますね」

この男が私の二面性を見破るほどの目を持っているなら、この言葉が本心であることも伝わるだろう。

私がその言葉を述べた瞬間、私の頬をつまんでいた蒼河様の手が一瞬離れ、今度は私の頬を優しく撫でた。





「なぁ、広葉。ある勝負をしないか?」





「勝負?」





突然そう提案した蒼河様は、私を押し倒して上から見下ろしたままの体勢で今度は私の耳に触れた。

「くすぐったいです」

「じゃあ、もっと触ろうか」

蒼河様がふざけ始めたので、私は蒼河様の手を振り払って「それより話を続けて下さい」と言い放つ。

蒼河様は観念したように私を押し倒していた体を起こして、近くの机の上に置いてあるメモ用紙を手に取った。