「あけおめー!このメンバー揃うのも久しぶりだねー!」
「無事に冬期講習から生きて帰ってきた、褒めろ」
「未来の工場長だぞー、やっと滋賀の地に戻って来れた」
「うわぁぁ、お前らぁぁ!」
「お前らなぁ……初詣くらいは静かにしてくれ」
行きたい行きたいと駄々をこねる令和ちゃんを大正くんに預けて、いつものメンバーと初詣に来た。
久々に見るみんなの顔は、冬休み前より変わってなかった。
その後、お参りをした。
「来年も一緒に来れますように!」
「来年は高校だよなー」
「いつからの伝統だ、これ?」
「そういや小学校に入る前からだよなー!え、凄くね?」
「今年こそバカ四天王がまともになりますように」
お参りを済ませ、境内でダラダラと話していると―――
「にしても寒くね?」
蒼真が手をさすりながら白い息を吐く。
「今年はいつもより冷えるなー……さぶっ」
「朱里、カイロ何個使ってるの?」
「五個」
私達より防寒対策バッチリな朱里が震えた。そういや、冷え性だったっけ?
そんなやり取りをしていると、ふと委員長が言い出した。
「……雪、強くなってないか?」
「あー……本当」
さっきまでは珍しく降ってるな〜程度だったのに、今は勢いが激しくなってる。
「やべ、早く帰らないと霜焼けなるぞ」
「帰ろ帰ろ」
「家帰ってこたつでぬくぬくしたい」
「はは、俺も……」
吹雪になる前に急いで解散。
悠久邸に向かって足早に歩いていると、昭和くんが私の方に歩いてくる。
「御寮人、ちと話してぇことがあるんだ。少し散歩に付き合ってくれねぇか?」
声はいつもより少し低い。
「大した話じゃねぇが、みんながいる前だと話しにくくてな」
少し恥ずかしそうに頭を搔いた。
昭和くんに連れられて来たのは、昭和時代最後の年の東京だった。
「どこ?」
「九段の方だぜ。もうちっと歩く」
昭和くんは寒そうに袖に手を入れ、ゆっくりした歩幅で進む。
遠くに見える街灯の列が、一本の線みたいに続いている。
やがて、道がゆるやかに上り始めた。
「坂?」
「ああ。もう着くな」
昭和くんに連れられて向かったのは、靖国神社だった。
鳥居をくぐった瞬間、さっきまでの東京の喧騒がすっと背後に引いていく。
拝殿の前に立つと、昭和くんは深く一礼し、ゆっくりと手を合わせる。
その姿を見て、私も真似をした。
―――長い沈黙。
何を祈っているのか、聞いてはいけない気がした。
参拝を終えて、少し離れた場所まで歩く。
昭和くんは並木の下で立ち止まり、振り返って私を見た。
「あそこには、戊辰戦争から第二次世界大戦まで、国のために命張った国民達が眠ってんだ。今日は新年の挨拶に来たんでぇ」
そう言った昭和くんは、少し悲しそうな表情をしている。
「……この先に平和があるのか、長ぇ戦いがあるのか俺には分かんねぇ。もしかしたら、何千何万の国民が御寮人の為に命を捧げることがあるかもしれねぇ」
それは。
私が何か言うより先に、昭和くんが口を開いた。
「だからよ、その何千何万の命に値する存在になれ。……どうか、御寮人の代が千に千代に続きますように」
その言葉は、祈りというより何かを託す声で。
「……重たいこと、言って悪ぃな」
そう言ってから、昭和くんは少し困ったように笑った。
「帰るか」
「……うん」
「無事に冬期講習から生きて帰ってきた、褒めろ」
「未来の工場長だぞー、やっと滋賀の地に戻って来れた」
「うわぁぁ、お前らぁぁ!」
「お前らなぁ……初詣くらいは静かにしてくれ」
行きたい行きたいと駄々をこねる令和ちゃんを大正くんに預けて、いつものメンバーと初詣に来た。
久々に見るみんなの顔は、冬休み前より変わってなかった。
その後、お参りをした。
「来年も一緒に来れますように!」
「来年は高校だよなー」
「いつからの伝統だ、これ?」
「そういや小学校に入る前からだよなー!え、凄くね?」
「今年こそバカ四天王がまともになりますように」
お参りを済ませ、境内でダラダラと話していると―――
「にしても寒くね?」
蒼真が手をさすりながら白い息を吐く。
「今年はいつもより冷えるなー……さぶっ」
「朱里、カイロ何個使ってるの?」
「五個」
私達より防寒対策バッチリな朱里が震えた。そういや、冷え性だったっけ?
そんなやり取りをしていると、ふと委員長が言い出した。
「……雪、強くなってないか?」
「あー……本当」
さっきまでは珍しく降ってるな〜程度だったのに、今は勢いが激しくなってる。
「やべ、早く帰らないと霜焼けなるぞ」
「帰ろ帰ろ」
「家帰ってこたつでぬくぬくしたい」
「はは、俺も……」
吹雪になる前に急いで解散。
悠久邸に向かって足早に歩いていると、昭和くんが私の方に歩いてくる。
「御寮人、ちと話してぇことがあるんだ。少し散歩に付き合ってくれねぇか?」
声はいつもより少し低い。
「大した話じゃねぇが、みんながいる前だと話しにくくてな」
少し恥ずかしそうに頭を搔いた。
昭和くんに連れられて来たのは、昭和時代最後の年の東京だった。
「どこ?」
「九段の方だぜ。もうちっと歩く」
昭和くんは寒そうに袖に手を入れ、ゆっくりした歩幅で進む。
遠くに見える街灯の列が、一本の線みたいに続いている。
やがて、道がゆるやかに上り始めた。
「坂?」
「ああ。もう着くな」
昭和くんに連れられて向かったのは、靖国神社だった。
鳥居をくぐった瞬間、さっきまでの東京の喧騒がすっと背後に引いていく。
拝殿の前に立つと、昭和くんは深く一礼し、ゆっくりと手を合わせる。
その姿を見て、私も真似をした。
―――長い沈黙。
何を祈っているのか、聞いてはいけない気がした。
参拝を終えて、少し離れた場所まで歩く。
昭和くんは並木の下で立ち止まり、振り返って私を見た。
「あそこには、戊辰戦争から第二次世界大戦まで、国のために命張った国民達が眠ってんだ。今日は新年の挨拶に来たんでぇ」
そう言った昭和くんは、少し悲しそうな表情をしている。
「……この先に平和があるのか、長ぇ戦いがあるのか俺には分かんねぇ。もしかしたら、何千何万の国民が御寮人の為に命を捧げることがあるかもしれねぇ」
それは。
私が何か言うより先に、昭和くんが口を開いた。
「だからよ、その何千何万の命に値する存在になれ。……どうか、御寮人の代が千に千代に続きますように」
その言葉は、祈りというより何かを託す声で。
「……重たいこと、言って悪ぃな」
そう言ってから、昭和くんは少し困ったように笑った。
「帰るか」
「……うん」



