数日後。澪は思い切って聞いてみた。
「……あの、神崎さん。相撲、よかったら……一緒に観に行きませんか?」
「……両国?」
「はい。幕内の取り組みの日なんですけど、まだチケット残ってて……」
「予定、確認する。赤木さんと行くなら、絶対にスーツはやめとこ」
「えっ……なんで……?」
「浴衣、着ようかなって」
「ゆ、浴衣!? あの、似合うと思いますけど……っ」
「ありがとう。でも、赤木さんのも、見たいな。浴衣姿」
(……これって、デート?)
その瞬間から、澪は心の中で何度も「行っていいのかな」「本当に?」と自問し続けていた。
でも、顔がにやけるのは止められなかった。



