「今日、外巻き?」
「え……なんで分かるんですか?」
「兄貴のせいで、無駄に髪型には詳しいんだよね。毛の流れとか、重心とか、自然に見えつつ技術があるか、つい見ちゃう」
「すごいですね」
「かもね。俺も、小さい頃に兄貴に髪結ばれたりしてたよ。前結び、めちゃ痛かった」
「……わ、私も結ってほしい……」
「え、今?」
「いや、冗談ですっ!」
言ってから真っ赤になった顔を手で覆う。
でも、神崎はクスッと笑って「今度やるよ」とだけ言った。
——神様、これは試練ですか。
それとも、ご褒美なんですか。
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