「蒼ノ島“だけ”を五十本以上入れた沼リストなんです……あんな表情とか、ちゃんこ映ってるだけの映像とか……っ」
「それ、逆に見たいな」
「や、やだ……っ、見たらドン引きしますって……」
「しないよ」
神崎のその一言は、さらっとしているのに、どうしてこんなに安心感があるのだろう。
「好きなものって、どれだけ深くのめり込めるかが重要だと思うし」
「……でも……」
「相撲って、ぶつかり合ってるようで、実はすごく繊細じゃん。仕切り、呼吸、駆け引き、力加減……ちゃんと見てる人って、あんまり多くないと思うんだ」
「……はい。私も……最初は、テレビの実況に惹かれて……『横綱らしい横綱相撲でしたね』って解説が耳に残って」
「うんうん。そういうとこから入るの、いいと思うよ」



