隠れスー女の恋の行方





「……綺麗ですね」

「道具を汚してちゃ、相撲取りに髷を結う資格はない。……父の教えだ」

「……すてきです」


清隆はそれには返事をせず、ただ、静かに作業を始めた。

澪はその背を、目に焼きつけるように見ていた。


開場前の稽古場では、力士たちの身体が汗と熱気で満ちていた。

その一角で、清隆が手際よく髪を結っていく。
澪は少し離れた場所で見守っていたが、ひとつのことに気づいた。


——蒼ノ島が、今日の巡業に来ている。


(わ……生で見ると、やっぱり迫力が違う……!)