その夜、澪は久しぶりに観ていた録画番組の相撲中継を、途中で止めた。 スマホを手に取り、神崎に送った一言は短い。 「次、一緒に行ける場所、考えておきますね」 数秒後に返ってきた返事には、こう書かれていた。 「俺も。君の“好き”をもっと知りたいから」 ふたりの恋は、まだ静かに始まったばかり。 でも、確かな約束と、優しいまなざしがある。 それだけで、きっと何よりもあたたかい。