春は、香りとともに。




 惟道side


 灯をくれた
 声もなく、名もなく
 ただ、わたしの夜を照らした

 香のように
 指先にふれて、消えていった
 それでも、胸の奥に残っている

 ――あなたがくれた火を
 わたしは、忘れない