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翌日。
志野子は、完成した手袋を小さな包みにして机の上に置いた。
けれど、朝も昼も、惟道に手渡すことができなかった。
話しかけるタイミングを見つけようとするたびに、心がすくむ。
「これ、使ってください」――たったその一言が、なぜこんなに難しいのだろう。
(こんなことで、わたし……)
自分に呆れそうになる。
でも、贈り物とは、ただ“物を渡す”ことではなく、
“気持ちを託す”ことなのだと、志野子はようやく気づいていた。
その夜、遅くまで本を読んでいた惟道が、ふと部屋に戻ろうと立ち上がる。
「……せ、先生」
声をかけたのは、志野子の方だった。
彼女は、少しうつむき加減で、両手に小さな包みを抱えていた。



