あの噂に隠された運命に涙する

『レベル、限界突破。体力、底なし。魔力、無限大。強さ、測定不能。即死チートなど、すさまじいほどのチート能力とスキルを使える。すべて使い放題で、孤高の魔王の称号を持つ』
「……すごい。無双できそう」
「すばらしいでござる」

有村くんとジュラルミン星人さんは感激していたけれど。
全く参考にならないほどの、得体の知れないパラメーター。
とにかく、強さに説得力がある。
しみじみとそう思っていたら。

『さて、芽衣様。今日は芽衣様のお誕生日です。息抜きに、どこかにお出かけになられてみてはいかがでしょうか？　楽しみながら、テレポートをマスターされるのも一興かと』
「楽しみながら？」

スポナビさんの思わぬ提案に、あたしはぽかんとする。

『はい。選択肢の中で、行きたい場所を選んでください。わたくしのテレポートで、そこまでお送りしましょう』
「スポナビさん、ありがとう」

みんなでお出かけ。
この世界で迎えるお誕生日も、そんなに悪いものじゃないかもしれない。
わくわくしていると。

『森で、モンスターの大軍団に囲まれて遊ぶ』
『宇宙船で、宇宙人の集団に誘拐されて遊ぶ』
『郁斗様の家でのんびりする』

波乱のイベント盛りすぎ！！
考えるまでもない。
有村くんの家でのんびりする。
これ一択。
ひとまず、一呼吸置いた後。