スターリーキューピッド

「四居さんも乗ってくー?」

「え。でも、遠回りになりませんか?」

「大丈夫。俺もこのへんに住んでるから。出張帰りだから、ちょっと散らかってるけど」


フカガミさんが助手席の窓を開けて返答する。

家は隣の学区で、ここから10分もかからない距離にあるとのこと。


「なら……お願いします」

「了解。整二、ドア開けてあげて」

「はいよー」


ここで断って後で風邪を引いたらそれこそ気まずいので、素直に甘えることに。

友清くんにドアを開けてもらい、傘を畳んで後部座席に乗り込んだ。


「乗って早々悪いけど、ガソリン入れていい? 時間大丈夫?」

「はい。大丈夫です」


リュックを膝の上に置いてシートベルトを着用すると、車が発進した。

車内ではロック調の音楽が控えめに流れており、芳香剤の爽やかな匂いが漂っている。

色気のある大人って感じだ〜。


「四居さん、昼間はありがとね」