スターリーキューピッド

商品棚を物色中の明吾に遭遇した。


「お買い物ですか?」

「うん。おつかい頼まれてさ」


珠夏の背後からひょこっと顔を出して、かごの中を覗く。

もち米、こしあん、きな粉、黒ごま、青のり。

このラインナップは、もしかしなくても……。


「あんこ……! 明吾くんも、ぼたもちを!?」

「うん。そっちも?」

「ええ! ちょうど今、お母様からお砂糖を持ってきてと頼まれましてですね……!」

「そうなんだ。率先してお手伝いなんて、珠夏ちゃんは優しいねぇ」


膝をかがめた明吾が珠夏の頭をポンポンした。

微笑んでるけど、心の中では苦笑いしてるだろうな。


「今年は手作りなんだね」

「毎年買ってたけど、結局お母さんが全部食べるはめになるから、今年から自分の分は自分で作ることになったんだ」

「そういえば明吾んち、みんな好みバラバラだもんね」