スターリーキューピッド

校舎が見えてくると、左側の曲がり角から女子2人組が現れて、明吾たちに話しかけた。


スラリとしたショートヘアの子は、部活仲間でクラスメイト。

小柄なツインテールの子は、1つ年上のマネージャー。

放課後にこっそり試合を見学したことがあったから、一目ですぐわかった。


「……めいくんの無自覚っ」


距離が離れてるのをいいことに、久々にあだ名で呼んでみたけれど。

さっきと同様の胸のときめきはなく、逆に締めつけられて、苦しい。


髪の毛、学ラン、リュックサック。スニーカーとシャツ以外は真っ黒。

対する私は、茶髪に白地のセーラー服だというのに……太陽に引けを取らないくらい輝いている。

このまま、遠い存在になってしまうのかな。

今は妹の付き添いで毎朝顔合わせてるけど、いずれ2人も私たちの後輩になるわけだし。

妹たちの手が離れても、朝の日課だけはなくならないでほしいな。






「お母様、持ってまいりましたわ」

「どこ置いたらいい?」

「とりあえず、あんこは上に、牛乳は下に置いて」