スターリーキューピッド

現在、朝佳ちゃんと一緒に床をモップで拭いているのだけど……。


「ねぇ、あの子めちゃくちゃかっこよくない?」

「だよね! スタイルも抜群だし!」

「転校生だよな? 初めて見る顔だし。バスケ部にスカウトしようかな」

「でもあの2人バレー部だろ? もうすでに勧誘してんじゃね?」


ヒソヒソと噂する声を耳にしながら、中央にいるイケメン3人組を遠巻きに眺める。


「やばいね、あの新入りくん。転校して1時間なのに、もう話題になってるよ」

「そうだね……」


彼らはパイプ椅子を並べているだけ。同じ仕事をしている人は他にも大勢いる。

なのに、女子はもちろん、男子の注目も集めちゃってる。

見てる分には目の保養になるけれど……。


「整二は前はどこに住んでたの?」

「ヨーロッパ。その前はアジア。昔から海外を転々としてて、日本に来るのは赤ちゃんぶりなんだ」

「帰国子女かぁ〜!」

「なら外国語も話せるんだ?」

「一応。でもあんま自信ない。日本人学校に通ってたし、覚えてきた頃に転校してたから、簡単なやり取りしかできないんだよね」