スターリーキューピッド

時間も余っていたので、軽く周辺を案内することに。


私たちの住む天降町には、至るところに神社や祠がある。

なんでも、大昔、天から神が降臨したことで町が発展したんだとか。

言い伝えでは、季節の神様と星の神様だったかな。

そのためか、季節の変わり目は、風習に倣って旬の物を食べたり、お供え物をすることが多い。

他にも、天体が特徴的な位置に来る時期は、それにちなんだイベントが開催されるから盛り上がるんだよね。


「何年か前は、木星と土星をモチーフにしたケーキが売られてたんです」

「へぇ〜。面白いな。今年もあるんですか?」

「はい。今年は土星と海王星らしいです。夏頃に販売されるみたいなので、誕生日ケーキにお願いしようかなって」

「海王星かぁ。ふふっ、どんな味がするんだろう」


笑顔で想像を巡らせる姿に胸を撫で下ろす。

風習=堅苦しいってイメージがあるから、煙たがられないか心配してたけど。

この様子なら、すぐ馴染めそうだ。


「他の惑星もケーキになったんですか?」

「どうですかねぇ。私が見たことあるのは木星と土星ですけど……」