スターリーキューピッド

指折り数えながら歩いていたら、誰かにぶつかってしまった。


「すみませんっ」

「いえ。僕のほうこそ、道のど真ん中で邪魔でしたよね」


ブレザー姿の彼にペコペコと頭を下げる。

邪魔だなんてそんな。ちゃんと前を見てなかった私が悪いのに。


「もしかして、ここの学校の人ですか?」

「そうですけど……何か、用事ですか?」

「はい。来月からここに通うことになってて。ちょっと下見に」


相づちを打ちつつ、彼の顔を観察する。


グレーがかったサラサラの髪、切れ長の目、薄い唇から覗く白い歯。

パーツ1つ1つがとても綺麗で、まさに、絵に描いたようなイケメンさん。

大人っぽいし背も高いから高校生かと思った。転校したら1週間も経たないうちに人気者になりそうだな〜。


「この町は初めてですか?」

「いえ。1度来たことがあります。天降町(あまくだりまち)、でしたっけ? 神社や祠が多いんですね」

「そうですね。歴史が深いみたいで、この学区だけでも20個以上はあります」