スターリーキューピッド

賢多(けんた)、来たよ」

「おっ、明吾!」


明吾が帽子をかぶった男の子に話しかけた。

あ、この人、昨日明吾と肩組んで登校してた……。友達って部活仲間のことだったのか。

長身の2人を眺めていると、帽子の彼がふとこちらに目を向けた。


「あれ、なんか可愛い子がいっぱいいるぞ」

「見たいって言うから連れてきた。こっちが妹で、ここ2人が向かいのご近所さん」

「へぇ〜! はじめまして〜」


膝をかがめた彼が七海ちゃんと珠夏に挨拶した。

普段からこういうキャラだから、いちいち突っ込むほどのことでもないのかもしれないけどさ。

私はただ、妹の付き添いで仕方なく来ただけで、見たいなんて一言も言ってないからね!? 興味が湧いたのは否定しないけども!


「こんにちは! 明吾と同じバレー部の馬場(ばば) 賢多です!」

「こちらこそ。四居 美月といいます」


心の中で主張しながら、笑顔で彼にご挨拶。

人混みの隙間から運動場を覗くと、そこにあったのは──。


「っ、嘘でしょ……」

「昨日まではなんともなかったんだよな?」

「うん。今朝もじいちゃんが散歩しに行ったみたいなんだけど、何もなかったって。なぁじいちゃん」

「ああ。一面、綺麗な緑だったんだが……」