始まりは偽彼氏、でも本気の恋




このお願いをする人に彼女がいないこと。



これは絶対条件だ。



だって彼女がいる人にこんなことをお願いするなんて非常識だし、彼女も嫌な思いをすると思うから。



目の前の完璧超人である成瀬くんに彼女がいないのは正直、とても意外に思える。



だって成瀬くんに惹かれている女子なんてたくさんいそうなのに。



それとも道里だと恋愛みたいな浮ついた雰囲気にはならないとか?



何にしても成瀬くんに彼女がいないことはこちらにとっては好都合。



この確認ができたことによって、成瀬光輝という人物は私の理想の偽彼氏の条件を完璧に満たしたのだから。



「いきなり変なこと聞いてごめん。あと帰り、少しだけ時間もらえない?」



「...?分かった」



私が何の事情も話していないせいで、成瀬くんからしたら意味不明なことしか言ってない変な人状態になっているんだと思う。



でも悩んでいる時間は残されていないから。