さっきとは違う意味で胸がドクンと大きな音をたてる。
ときめく心が抑えられないのは、私が自惚れてしまっているせい?
「....本当は消しゴムは1つしか持ってきていなかったのにね」
「...!?」
彼の次の一言によって、思わず目を見開いた。
まだ彼の言う”彼女”が私で確定したわけではないのに、完全にあの日の自分の行動と重なっているから。
年明けの雨が降っていた日に行われた塾共通の実力テスト。
あの日確かに私は成瀬光輝くんへ自分の持ってきていた筆記用具の一部を貸した。
元々心配性な私は筆箱の中身をパンパンにするほど予備を多く持ち歩く性格だったから。
だから何本も持っているシャーペンを貸して、芯も貸して。
だけどあの日はなぜか消しゴムを1つしか持っていなくて、でも絶対に使うものだから貸してあげた。



