「人混みではぐれると心配だから。ね?」
「.....うん」
いつもと変わらない素敵な笑顔は、私の胸を簡単にときめかせた。
こんなにたくさんの人がいる中で彼しか目に入らない私はおかしいのかな。
繋いだこの手を離したくない。
この温もりが今日で終わってしまうなんてこと、考えたくない。
そんなわがままが胸の中から溢れてしまうほど、いつの間に私は欲張りになってしまったんだろう。
「じゃあ食べ物だけ買って、この人混みから移動しようか。だんだんと人が増えてくるし」
繋がれた手はそのまま人混みの中を進んでいく。
手を繋がれていれば嫌でも思い知る。
彼が私の歩くスピードに合わせてくれていること、少し前を歩いて人がぶつからないようにしてくれていること。
光輝くんは当たり前だと思っているから何も言わないけど。



