【完】始まりは偽彼氏、でも本気の恋




自分の感情をコントロールする力でさえ失っていた。



もしかしたら生きる気力すら失われていたのかもしれない。



「私も私で夫を亡くした悲しみでどうしようも出来なかった。光輝が苦しんでいることは分かっていたのに」



私が言えることではないけれど、それは当然ではないのだろうか。



だって一生の愛を誓った相手が自分を残して亡くなってしまったのだ。



家族の思い出だけじゃなくて、恋人時代の夫婦時代の思い出だってあったはず。



子ども達とは違う色んな思いが溢れてきて当然だ。



「あの時ほど自分が情けないと思ったことはないな。光輝のお見舞いに乃々香と行くたびに、申し訳なさそうな顔をするの」



家族に合わせる顔がないと思っていたんだろうな。



自分のせいでお父さんは亡くなったと責めていたから。