「....ごめん、愛莉。今だけはこうしててもいい?」
その瞬間、優しい温もりに包まれた。
正面から彼に抱きしめられたことが分かって、一気に体温が上がった。
急いで離れなきゃと思ったけど、抱きしめている彼の手が震えていることに気づいた。
「私でよければ、ここにいるよ」
「...ありがと」
そう言うと、さらに抱きしめる力が強まった。
私のところからじゃ光輝くんの顔は見えないから、どんな表情をしているのかは分からない。
ただ彼が背負っているものは想像するよりも大きくて、重くて、でも何よりも大切なもの。
その荷物を私が背負うことなんて到底できないけど、彼が疲れた時は安らげる存在でいられたら。
ご家族とは違う距離感の私だからこそ、役に立てることがあれば嬉しいよ。
大好きな父の言葉を軸として、残された母と妹を懸命に守ろうと生きているこの愛しい彼に。



