「本当にありがとう。大事にするね」
「どういたしまして。俺の方こそ付き合ってくれてありがとう」
少しだけ照れたように優しく微笑む顔に、胸がキュッとなる。
苦しいような、熱いような、切ないような、何とも言い表せない気持ち。
私達の間に続く言葉はなく、無言。
このままお別れの言葉をどちらが告げたら、この時間は終わりを告げる。
楽しかったデートは終わってしまう。
───嫌だ、終わりたくない。
「ねぇ愛莉。最後にもう一度だけわがまま言ってもいい?」
2人の間で流れる静寂を破ったのは光輝くんだった。
「....いいよ?」
「先に謝っておくね。ごめん」
えっ?と驚く声もあげる暇がないまま、向き合っていた私と光輝くんの距離はグッと縮まっていた。
すると、前髪に温かい感触を感じた。



