「よし、ここにしよう」
たくさんの人がいる中でちょうど空いている席を見つけて、そこに座る。
上の方ではあるけれど、ステージ全体を見渡すことができる。
近いところだと迫力を感じられるし、遠ければ全体を見渡せる良さがある。
近くは見れないけどモニターをあるから、あれでアップの映像とか映してくれるのかな。
「目玉というだけあってすごい人だ。愛莉は疲れてない?」
隣に座った光輝くんは、暑そうに服をパタパタとさせていた。
「大丈夫だよ。光輝くんこそいつも先歩いてくれて、疲れてたりしんどくなったりしてない?」
人混みを歩く時、私は絶対に人にぶつかることはなかった。
それはいつも彼が私の道を作ってくれていたからだ。
「俺は大丈夫。今、初めて彼氏っぽいことしてる実感わいてるから!」
そうやって嬉しそうに笑うから、何度何度も油断しそうになるんだよ。



