執着心がないはずの危険な男は少女を甘く囲い込む。

柊斗が持っている私の髪をツンっ、と引っ張った。

強い力じゃない。

痛くもない。

それでも逃さないとでもいうように、まるでリードを引っ張るように。





「その赤い顔、俺以外に見せたら……見たやつ全員潰すから」





横暴すぎる言い方。

それでも、きっとこの人は誰かに執着したかったのかもしれない。

それほどまでに……




「寂しいの? 私の膝の上で寝たいくらい疲れてたんでしょ」




つい口からこぼれ落ちた言葉。

「疲れた時は休んだ方が良いよ」

当たり前にそう言いたくなってしまって。

だって、眠い時に寝ないのならいつ寝るというんだ。

柊斗の表情は変わらない。

馬鹿にされたと怒るでも、何を言っているんだと呆れるでもない。






「紗都、一生逃さなくても良い?」






そんな言葉に「うん」なんて言えない。

言えるはずない。