吉野(よしの)さんって態度悪くない? ていうか、声聞いたことないんだけど」

「それな。ある意味、どんな声か聞いてみたいわ」

クラスメイトの噂話に耳を澄ませながら、私は自分の席に座った。

クラスメイトの話が加速していく。

「おい、誰か笑わかせてこいよ」

「じゃあ、吉野さんに声を出させたやつが優勝な」

「ていうか、吉野さんって授業中当てられた時って話してたっけ?」

「いや、無言を貫いて、先生が気まずくなって当てるやつ変える。だから、マジで吉野さんの声は貴重」

待って。やめて、そんなゲームしないで。

「よし! じゃあ、俺行ってくるわ!」

ある一人の男子が私に近づいてくる。